チャットボットこれまでの歴史
一般にチャットボットが流行するようになった2016年が「チャットボット元年」とされていますが、チャットボットにつながるアイデアや技術の起源は、AIという言葉が誕生した20世紀半ばまでに遡ることができます。本記事では、チャットボットをコンピュータ史とAI史のなかに位置づけてみます。
チャットボット前史
チャットボットが実現する「ヒトとAIの会話」は、コンピュータやAIの基礎が築かれた1950年代には「知性ある機械」が実行するべきタスクとして認識されていました。こうした自然言語による会話は、早くからコンピュータ開発の目標であり続けたのです。
・1950:アラン・チューリングが発表した論文『計算機械と知性』において、ヒトと会話することによってコンピュータに知性があるか否かを検証する「チューリング・テスト」が提唱される。
・1966:世界初の会話型コンピュータ・ソフトウェア「ELIZA(イライザ」)」が開発される。
・1968:映画『2001年宇宙の旅』が公開される。劇中に登場するAI「HAL 9000」は、その後のAIのイメージに大きな影響を与える。
チャットボット黎明期
20世紀末に起きたIT革命によって、一部の専門家だけが使っていたコンピュータが一挙に社会に普及しました。こうしたIT普及期に、自然言語や会話形式を使った初期型のソフトウェアが誕生しました。
・1996:自然言語入力に対応した検索エンジン「ask.com」がリリースされる。
・1998:ウェブページに貼られたリンクに着目して検索結果を返すという情報理論「PageRank」にもとづいた検索エンジン「Google」が誕生する。
・Microsoft Office 97において会話型ヘルプ機能「Officeアシスタント」が登場する。
チャットボット揺籃期
今日のチャットボットの流行を語るうえで避けられないのが、長かった「AIの冬」が終わって、AIが再び急速に進化したことです。AIが進化したことによって、今日のチャットボットに直接つながるアプリやシステムが次々と開発されました。
・2006:今日のAI進化の礎となる技術「ディープラーニング」のアイデアが、ジェフリー・ヒントンによって提唱される。
・2011:IBMが開発した「Watson」がアメリカのクイズ番組「ジョパディ!」に出演し、ヒトに混じってクイズに挑戦。優勝を果たす。
・2011:iPhone 4Sの新機能として、音声アシスタント「Siri」が実装される。
・2011:ガートナーが毎年発表するハイプ・サイクルにおいて「自然言語による質疑応答システム」がリストアップされる。
・2014:Amazonが開発したAI「Alexa」を実装したスマートスピーカー「Echo」が発表される。
チャットボット元年以降
2016年、ついにチャットボットはビジネスシーンで活用されるようになり、「チャットボット元年」を迎えます。チャットボットは、もはや一部の大企業だけが導入できる「高嶺の花」の技術ではなくなったのです。
・2016:Facebookが開発者会議において、Facebook Messengerを活用したチャットボット機能を発表。以後、LINE、Skypeも同様の機能をリリースすることによって、「チャットボットプラットフォーム」を活用したチャットボット開発がさかんに行われるようになる。
・2016:Googleが開発したAIアシスタント「Googleアシスタント」を実装したスマートスピーカー「Google Home」をアメリカでリリース。
・2017:「Amazon Echo」の日本販売始まる。
・2017:「Google Home」の日本販売始まる。
・2018年:Appleが開発したスマートスピーカー「HomePod」がアメリカを含む一部の国でリリースされる。
チャットボット・サービスが爆発的に開発されるようになったチャットボット元年から2年が経過した2018年現在は、開発されたチャットボットの成果が明らかになり、導入効果が薄かったチャットボットが消えていく淘汰の時代を迎えようとしています。これからチャットボットを導入したり、チャットボット・サービスを開発する場合には、すでにある前例を参考にしながら計画的に取り組むのが無難でしょう。
