顔認識とチャットボット
現在注目すべきAIを活用した機能には「顔認識」があります。この顔認識とチャットボットを組み合わせたビジネス事例はまだ多くはありませんが、技術的には可能な水準に達しています。そこで本記事では、既存の技術やビジネス事例を参考にしながら、顔認識とチャットボットが複合したビジネスの可能性を探っていきます。
エモーショナル・チャットボット
現在、AIが認識したヒトの顔から感情を読み取る機能がすでに存在し、そうした機能の事例として、Microsoftが提供している法人向けクラウドプラットフォームMicrosoft Azureに組み込まれたAPIのひとつである「Emotion API」があります。
同APIを使うと、喜びの割合が99%といったように数値化された感情に関する情報が取得できます。
ところで現在のチャットボットAIは、ユーザは文字を介してのみコミュニケーションします。ユーザの顔を認識しておらず、その顔から感情を読み取ることもありません。
しかし、もしユーザの顔を認識してその顔から感情を読み取ることができれば、より自然なコミュニケーションを実現するのではないでしょうか。チャットボットAIが感情を読み取ることができれば、例えばユーザの表情に応じてチャットの内容を変化させるということも可能なのです。
こうした「エモーショナル・チャットボット」とも呼べるサービスを導入すれば、現在オンライン・ショッピングに活用されているチャットボットの接客が進化することでしょう。
スマートロボットによるチャット
株式会社ヘッドウォータースは、ロボットに様々な機能を実装するサービス「SynApps(シナップス)」を提供しています。同サービスにおいてロボットに実装できる機能には顔認識や自然言語処理といったものがあります。
顔認識を実装すれば、ロボットは搭載されたカメラに写ったヒトが誰であるか認識できるようになります。また、自然言語処理機能を実装すれば、ロボットはヒトと自然言語(話し言葉)でコミュニケーションできるようになります。同サービスは、以上の機能をPepperに実装した事例があります。
同サービスで実装できる機能にチャット機能を加えることは不可能ではないでしょう。もし顔認識によってヒトを識別可能なロボットがチャットもできるのであれば、そのロボットはヒトによって異なった内容のチャットが可能となるでしょう。こうした「スマートロボット」にふさわしい仕事は、接客業ではないでしょうか。
現実の接客現場で働くスマートロボットの実現は、現在のロボット工学の水準を考えると、まだ相当の時間がかかりそうです。しかし、Pepperが進化した先にはヒトのような接客ができるロボットの存在が予感できるのです。
ARチャットボット・エクスペリエンス
2016年6月、イギリスの老舗化粧品ブランドのリンメルはARメイクアプリ「Get the Look」をリリースしました(イギリス限定)。同アプリは、スマホのカメラから取得したユーザの顔画像に対して、バーチャルに化粧品を試用できるARコスメアプリです。
同アプリの画期的なところは、ユーザが顔の位置や表情を変えても、AR表示された化粧の効果が続くことです。そのため、同アプリを使うとまるで現実の鏡を使って化粧品を試しているかのような体験ができます。こうした機能を実現しているのが顔認識機能「FACE」です。
同機能は、AIが多数のメイクアップ画像を機械学習することによって、瞬時にユーザの顔とメイクの特徴を認識することを実現しました。
ところで同アプリはスマホの画面に表示された化粧品をタップすると、AR表示された顔が化粧されるというように動作します。
このメイクのプロセスにチャット機能を追加することは可能ではないでしょうか。チャットボットを導入すれば、ユーザがあるリップクリームを選んだ後、「もっと赤い色がいい」と入力すると新しいリップクリームの候補が表示される、というような体験ができるようになるはずです。
こうした「ARチャットボット・エクスペリエンス」とでも命名できる体験は、さらに進化する余地があります。マイクロソフトが開発しているARデバイスHoloLensを使えば、3次元的なホログラムに対して化粧を試すことができるようになるでしょう。
以上のように顔認識とチャットボットを組み合わせたビジネス事例はまだ実現していないものも、もし実現したら画期的なものばかりです。そして、本記事で解説したビジネス事例の実現は、決してSF的な実現不可能なものではなく近未来には登場すると考えられるのです。
