AIチャットボットとは?種類と運用事例について紹介します
今ではECサイトに留まらず数多くのサービスで使われているチャットボットについて詳しく解説します。今後大きな発展が見込まれる人工知能を利用したAIチャットボットやその運用の基本を抑えておきましょう。
チャットボットとは?
チャットボット(Chatbot)というと一般的にはECサイトなどで質問に自動回答するプログラムとして知られていますが、本来はchatとbotが組み合わされた造語です。
chatとは英語で雑談を意味し、botとはロボット(robot)の事です。つまり雑談をするロボットが本来的な意味になります。
ロボットというと機械のイメージが強いですがITの世界でbotというと特定の動作を自動的に繰り返すプログラムの事を指します。
身近な例をあげると、Twitterなどでたくさん見つかる「名言bot」や「いい話bot」といったアカウントは、あらかじめ仕込んでおいた文字列を自動投稿するアカウントという事でまさにロボットの仲間なのです。
プログラムとしてのロボットに雑談という概念が組みあわさったものがチャットボットです。
チャットボットの歴史
世界ではじめてのチャットボットは1966年にマサチューセッツ工科大学で生まれたELIZA(イライザ)だとされています。
ELIZAはDOCTORというセラピストのシミュレーションのスクリプト(台本)で動き、入力された文章を構文解析して抜き出したキーワードを定型文に埋め込んで回答する仕組みでしたが、かなり人間っぽい受け答えになることもあったそうです。
ELIZAは人工無能の起源として有名で、今でもAppleのSiriとの小話の中でイライザの存在がほのめかされたり、数々のフィクションでその名が引用される程です。
なお、おそらく世界で最も有名なチャットボットはマイクロソフト社のOffice アシスタント、イルカのカイルでしょう。
同社のソフトウェアのWordやExelでポップアップするカイルに質問事項を入力すると、必要なヘルプ項目へのリンクが回答されるチャットボットでした。
今ではOffice アシスタントが廃止され、代わりにCortanaが実装されていますが、このようにチャットボットは以前から身近にあったテクノロジーです。最近になって開発されたものではありません。
人口無能(人工無脳)と人工知能
チャットボットには人工無能(人工無脳)と人工知能(AI)の2種類があります。
人工無能(人工無脳)の仕組み
人工無能とは特定の単語に対してあらかじめ紐付けられた回答をするプログラムです。
単にチャットボット(Chatbot)といった場合に人工無能を意味する場合もあれば、Chatterbotの翻訳として広義のチャットボットと区別する場合もあります。
いずれも厳密な定義は無いので話題のコンテクストの中で区別する必要があります。
人工無能の仕組みはいくつもありますが代表的なものを単純化すると、東京の観光サイトで「グルメ」と「おすすめ」が続けて打ち込まれた時に特定のレストランが回答されるようなシステムです。
もちろん単純な1対1対応ではなく、前後の文脈なども加味した上で回答を作る必要がありますが、あらゆる回答パターンについて事前にプログラマが設定しておかなければいけません。
そのためグルメではなく「ごはん」や「おいしい」といった登録されていない言葉で質問されると回答エラーになってしまいます。
「東京のおすすめグルメを教えて」と「おいしいごはんのお店教えて」はまったく違う単語が並んでいる文章ですが、どちらも東京観光サイト上で質問されたなら「おすすめのメニューを提供しているお店を教えて欲しい」という意味があるのは人間なら誰でも分かります。
意味はテキストに宿るのではなく、シチュエーションによって規定されるからです。
しかし人間とは違ってロボットは一つ上の抽象度から文章の意味を推察できませんから、単語の有無によって総当たり的に出力すべき回答を選ぶというわけです。
上手く動作すれば喋り言葉で人間とやり取りしたような自然な会話が成立しますが、想定外のやり取りが出来ないのが弱点です。
人工知能(AI)の仕組み
人工知能とはArtificial Intelligenceの翻訳語で一般的にはAIと呼ばれます。
AIは人工無能とは異なり、人間の知能を模倣したプログラムです。
ただしAIにはいくつもの種類があり、どこまでをAIと呼ぶか明確な定義がありません。
黎明期には今の人工無能に相当する1対1対応の回答が出来るだけのプログラムでも人工知能の一種とされていましたが、現在ではディープラーニングなど自己学習できるプログラムでないと人工知能とは呼びづらいです。
そもそも人工知能というからには最初に知能の定義が必要ですが、哲学的な分野を含むため共通した見解がないのが実情です。
心があるけれど知能が無い状態や知能があっても心がない状態はあり得るのか?
心とは何か、内部表現の有無は外部から判断できるのか、など多方向に問題が拡散してしまいまとまりません。
知能と心についての良い例としてはチューリングテスト(Turing test)があります。
これはコンピュータと人間を対話させて、人間がコンピュータの回答だと見抜けなかったら、そのコンピュータには知能があると判定するものです。
この時、純粋なやり取りに集中するため、お互いの会話はタイピングで行われます。
しかしチューリングテストの結果コンピュータの回答を見抜けなかったからと言って、コンピュータに知能があるとは認めがたいでしょう。
たまたま無数に想定していたやり取りが当てはまっただけかもしれません。
そのため現時点では人工知能(AI)という言葉には運用的な定義しかありえないと言えます。
まるで人間のように必要とされる機能を発揮できるプログラムが人工知能と呼ばれているのです。
強いAIと弱いAI
AIには強いAI(strong AI)と弱いAI(weak AI)という概念があります。
弱いAIとは特定のシチュエーションに限って大きな機能を果たすAIの事です。
既にチェスにおいてはAIが人間のチャンピオンを凌駕する強さを誇りますし、将棋においても大抵の棋士はAIに勝てません。
これは数年にわたってニコニコ動画にて放送された将棋電王戦の結果で明らかです。
人間の目には無限に見える盤面でもフィールドが限られている以上、有限の選択肢しかありません。後はコンピュータが高速演算でトライ&エラーを繰り返せば人間には太刀打ちできなくなるのです。
チェスや将棋に代表されるような特定の局面では人間の知能を超えるAIは多いです。
このように弱いAI(weak AI)は特定の用途において最適解を導き出すことができるAIなのです。
この定義においてAIに人間のような知能があると考える人は少数派でしょう。コンピュータ将棋プログラムのponanzaに知能や心があるとは思えません。
計算機を知能と呼ぶには抵抗があります。
これに対して強いAIでは人間の知的活動そのものを模倣します。漫画やアニメに出てくる人間型ロボットが強いAIで、知名度的には手塚治の鉄腕アトムがその代表です。
アトムは人間のように喜怒哀楽がありますし存在意義に悩む事もあります。コンピュータ将棋プログラムのponanzaに心は無いけれどアトムには心があるように見えます。
残念ながらアトムはまだ生まれていませんが、ストロングAIは特定の局面における最適解を出すプログラムではなく人間の知能そのものをコンピュータで再現しようというものです。
AIチャットボットのAIは強いのか弱いのか?
AIチャットボットのAIは特定のシチュエーションにおけるやり取りをする上で弱いAIを志向しています。
ファッションのECサイトではファッションに限った質問を想定して、あらゆる言い回しや質問にまるで人間のように柔軟に対応できるAIを目指していますし、転職サイトでは転職サイトの話題に特化したAIが必要とされます。
つまり基本的にECサイトでは人間のように内部表現をもったり世間話を含む不規則な話題を自由に会話できるAIは求められていません。
有人対応のオンライン接客であればあらゆる会話に対応可能ですが、AIチャットボットは特定分野に特化した機能を果たすことを最優先としており、人間らしい振舞いは求められても、人間の知性そのものが求められているわけではないのです。
AIチャットボットの種類
AIチャットボットは大きく分けて2種類の関係性に分けられます。
ユニバーサルボット
一つはユニバーサルボットでSiriやCortana、Alexaなどのプラットフォームに付属するアシスタントです。ユニバーサルボットは驚くほど多種多様な話題に対応してくれます。
強いAIではありませんが特定ジャンルの検索代行役を超えた機能を持っています。
GAFAのような大手IT企業はAI開発に多額の投資をしており、いっそう機能が充実し賢くなっていくでしょう。
サブボット
特定のシチュエーションに特化したAIボットでアパレルからピザの注文まで無数のジャンルで実用化されています。
主に下記の機能を持っており、ユニバーサルボットのように多様な受け答えは出来ません。
- 新着ニュースの通知
- ヘルプデスク代わりの質問対応
- 販売促進などのカスタマーサポート
AIチャットボットの実例について
ここからは既に実用されている有名なAIチャットボットについて紹介します。
Alexa(アレクサ)
アレクサ(Alexa)はAmazonの音声チャットボットです。AIスピーカー(スマートスピーカー)と呼ばれる事もあり、テキストを打ち込んで回答をもらうのではなく音声で指示を出すのが特徴です。
Alexa Skill Blueprintsでアレクサのプラットフォームを利用した様々なスキルを自作できます。
Cortana(コルタナ)
CortanaはマイクロソフトのOffice アシスタントのバージョンアップ版とも呼べるAIボットです。ワードやエクセルのような特定の分野だけでなくWindowsOS全般についての質問対応をします。
Siri(シリ)
SiriはAppleのAIチャットボットです。コルタナと同じようにApple機器全般についてのサポートをしますが、スマートスピーカー HomePod(ホームパッド)をリリースしており音声入力が可能です。
Facebook Messenger
FacebookMessengerは、通話やチャットができるサービスでFacebookのメッセージ機能が独立したものです。
PC版だけでなくスマホ向けアプリとしても提供されており、チャットボットを作成できます。現時点ではAIチャットボットというよりシナリオ型の人口無能を作れるプラットフォームだといったほうが適切かもしれません。
転職SNSのWantedlyや東洋経済オンライン等が導入しており、アプリ等で通知が受け取れるようになっています。
LINE Developers(Messaging API)
GAFAだけでなく国内の企業もチャットボットのプラットフォーマーとして活躍しています。LINEもFacebookと同様にチャットボットを作れる機能を提供しており、LINE DevelopersでAPIを提供しています。
既にヤマト運輸がライン上で再配達や受取に関するやり取りができる体制を築いています。
UNIQLO IQ(ユニクロIQ)
世界的アパレルメーカーユニクロのアプリにはUNIQLO IQという買い物アシスタント機能があります。
ユニクロIQは2017年から導入されており、店舗の在庫を確認出来たりコーディネートの相談ができるAIチャットボットです。
オンラインストアで購入するのに役立つだけでなく、実店舗で店員に話かけづらい人にも便利な機能だと言えます。
ECサイトのAIチャットボットについて
上記のAIチャットボットの事例では大資本を注ぎ込んだ大手がしのぎを削っている様子が見て取れますが、真似をするのは難しいです。
しかしユニクロのようにプラットフォーマーを志向せずECサイトと実店舗の融合に利用するケースもありますし、既存のサイトに後からAIチャットボットを追加してCVや離脱率、再訪問率の改善につなげた事例は数多いです。
まずはAIチャットボットに何が出来るのか資料をチェックしましょう。
